近世数学史談を読んで
読み終わってまず感じたことは、やはり著名な数学者たちは数学者なるべくしてこの世に生まれたのだなという事である。彼等が証明、研究した数々の功績を数式で目の当たりにしてもほとんど理解できない。まだ大学の基礎数学を始めたばかりとはいえ、その断片ですら捉えることができない自分の数学力の低さを認識させられた。彼らの研究対象である整数論、楕円函数論、積分論、無限級数の和、一般次代数方程式の解の存在等々は名前を耳にするだけで難しいことがわかる。私など一生考えもしないようなことに彼らは私より若くして着想し、研究し、まったく違う道を歩んでいったのである。
さて、ここでこの史談中に登場する数学者たち個別の感想を述べようと思う。特に、本文中で印象に残ったガウス、アーベル、ヤコービ(いずれもドイツ人だということに驚いた。)について述べることにする。
――――ガウスは閑静なる天才とでも言えばいいのか、本文中では最も優れた頭脳と研究成果を持っていたかのように感ぜられた。しかし、その完璧主義さゆえ、またその多忙さゆえに発表が少なかったのが筆者同様残念でならない。彼の研究した整数論、楕円函数論は...