「現代社会における教育の制度と経営」青木秀雄・岡本富郎(明星
大学出版部)
1.日本における最近の教育改革の動向と教育制度について、関心のある課題の要点をまとめ、見解を述べよ。
2.各国の教育制度の中から1つ取り上げ、公教育制度の発展について教育行政と関連して論述せよ。
1.P ISAと全国学力調査の要点をまとめ、見解を述べる。
「ゆとり教育」は、国際的な学習到達度調査(PISA)の志向に沿っている。「生きる力」や「考える力」は主体性と創造性を養うための教育用語である。95年頃から世界各国の教育目標が変わってきた。それまでの目標は、創造性、批判的思考力を犠牲にしているという批判が高まり、PISAが考案された。新しい教育指標では、能力を、読解力・数学的・科学的リテラシー、問題解決能力に分けた。PISA調査は、21世紀の高度知識社会に対応した能力を設定し、生涯学習の発想を基盤とする。リテラシーとは、熟考・比較・判断・仮定する能力であり、学力競争という発想は含まれない。知識基盤社会における先進諸国は、国際競争の中で教育改革に力を入れている。日本でも、国は目標を設定し「結果」を監査する責任を負う一方で、「プロセス」に関する権限と責任を市区町村と学校に移譲している。
TIMSSはIEAが実施してきた学力調査で知識を問う問題が中心でPISAと傾向が異なる。08年発表結果に対し、文科省は「学力低下に歯止めがかかった」と評価した。03年の調査では、小4理科で前回...