イギリス文学史II 分冊2の合格リポートです。
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ロマン主義の時代の小説家のオースティン(Jane Austen, 1775-1817)の『高慢と偏見』(Pride and Prejudice, 1812)とヴィクトリア朝時代の小説家のシャーロット・ブロンテ(Charlotte Bronte, 1816-65)の『ジェーン・エア』(Jane Eyre, 1847)を比較する。とくにそれぞれに描かれている女性像について比較したいと思う。
オースティンの生きた時代はロマン主義の全盛期であったが、そこにフランス革命もナポレオン戦争も影を落とすことがなく、彼女の小説にはそういう時代の雰囲気は全く感じられず、オースティンの描く世界は狭い。しかし、彼女が住んでいたイギリスの田舎の「上流階級」の外見的にはほとんど波瀾のない平凡な家庭生活を、とりわけその子女の結婚問題を中心として描くことによって、人間性の機微を正確に綿密にとらえている。『高慢と偏見』は、再起煥発なヒロイン、エリザベスが、高慢なダーシーに対する偏見や誤解を解く過程を通して、自己や他者、社会とのかかわりにめざめるという筋をもつ。次の『高慢と偏見』の書き出しの引用にあるよ...