M6701、R0705、文学概論のレポートです。
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『小説神髄』の「諸言」を読み、坪内逍遥が『小説神髄』を執筆するにいたった経緯についてまとめよ。
江戸時代までの小説の流れ
坪内逍遥は、「諸言」にて「遠くしては『源氏』、『狭衣』、『濵松』、『住吉』あり、」と、中古の物語を例に挙げることから始めている。物語は、和歌のような字数制限もなく、漢詩のような平仄や音脚もない、通常の文章でつづり、あらすじを持ち、虚構を含んだ文学作品で、現代の小説のようなものである。現存する最古の物語は、『竹取物語』と考えられている。『竹取物語』は、伝奇的・虚構的な要素が強く、伝奇物語と呼ばれている。その後、『伊勢物語』を代表とする歌物語が生まれた。歌物語は、歌を中心とした物語で、主人公の伝記的傾向が強いものであった。そして、伝奇物語おける虚構による描写をおこなう点、歌物語における自分の感情を描写する点、『蜻蛉日記』などの日記文学の自身の感情を客観的に描写する点をまとめ上げたものが、紫式部による『源氏物語』である。やがて、貴族社会の衰退とともに中古の物語は衰退し、『濵松物語』や『狭衣物語』などの歴史物語が登場する。
中世に入ってからは、『住吉物語』などの平安時...