インテーク、アセスメント、介入・援助それぞれの場面について、病院におけるソーシャルワーカー(医療福祉相談員)と福祉現場との相違点をまとめている。(医療福祉論の試験用まとめ)
通常、ソーシャルワークは福祉の現場で行われるのに対し、医療ソーシャルワークとは医療の現場で行われており、その対象は「利用者」ではなく「患者」である。
ソーシャルワークのプロセスは大きくインテーク、アセスメント、介入・援助、再評価に分けられる。その中で福祉の現場で行われるものと異なると考えられる点を挙げる。
1.インテーク
これはクライエントとワーカーが初めて出会う機会である。そのきっかけは医療機関によって様々であり、特定の診療科についてはルーティン化している、入院決定の時点で依頼がある(リハビリテーション病院、生活保護患者など)、ワーカーが転院相談の窓口となっている、ワーカー以外の職員が何らかの援助が必要になると判断する、すでに何らかの問題が顕在化している(未熟児など)等の場合がある。
インテークの目的に主訴の把握があるが、それは必ずしも患者の口から語られるとは限らない。例えば「転院したい」と訴えていても、本当に転院したいのか、患者と家族の間で意見が食い違っているのか、退院を勧められたが入院継続をしたいのかなど、多くの状況が考えられる。
2.アセスメント
初回面接後、保険証、カルテ、スタッフから得た情報を収集し、組み立てていく。保険の種類が違えば問い合わせ先や助成が異なり、カルテやスタッフの言葉には医療用語が多く含まれる。そのため、医療ソーシャルワーカーには医療の知識が求められる。
3.介入・援助
援助にあたり、他のスタッフと連携を取らなくてはならない。それにあたって、ワーカーの役割を周知させておく必要がある。医師によってはワーカーを「転院斡旋係」という扱いをすることもあり、周知がなされていなければ連携もうまくいかない。
患者と医師や家族の間に入り、関係を調整することも大切な役割であるが、ただ単に「こうしてほしいとおっしゃっていました。お願いします。」ではただの伝言役になってしまう。双方の意見を聞いて歩み寄れる点を探し、そこへ導くことが調整なのである。
そして、退院や転院などを迎え、援助が終結する。場合によっては患者が援助を拒否することもあるが、病院はあくまでも医療を提供する場であるため、援助を無理強いすることはない。
患者は医療を受けに医療機関に行き、医療機関は患者に医療を提供する。医療ソーシャルワークはその円滑化を目的として誕生した。医療機関自身の役割によって医療ソーシャルワークに求める役割は異なり、
参考文献:
小島美都子・成清美治編(2002年)「第二版 現代医療福祉概論」学文社
荒川義子(2001年)「医療ソーシャルワーカーの仕事 現場からの提言」川島書店
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