ユダヤ人について
目次
1.はじめに
2.ユダヤ人は人種名か
3.ユダヤ人の人口
4.離散と迫害
5.アシュケナズィームとセファルディーム
6.19世紀以後の文化的貢献
ユダヤ人について
目次
1.はじめに
2.ユダヤ人は人種名か
3.ユダヤ人の人口
4.離散と迫害
5.アシュケナズィームとセファルディーム
6.19世紀以後の文化的貢献
1.はじめに
ユダヤ人という名称は元来〈ユダの者たち〉という意味であった。イスラエル史の王国時代,北王国イスラエルは紀元前722年に滅亡し,南王国ユダが伝統的信仰と民族性を保持する唯一の立場となった。このユダも前586年にバビロニアに滅され,社会の指導層はバビロンに連行(バビロン捕囚)されたが,このころから〈ユダの者たち〉という表現が用いられるようになり,その後民族の名称となった。
2.ユダヤ人は人種名か
ユダヤ人とは自然人類学的表現ではないと言われる。ユダヤ人自身の伝統的規定によれば,ユダヤ人であるための要件は(1)ユダヤ人の母から生まれた者,(2)正式な手続きを経てユダヤ教に改宗した者である。したがって血縁的要件の他に文化的要件によってユダヤ人になる道が開かれていることになる。ユダヤ人はバビロン捕因後現代に至るまで,つねに祖国の地を離れて世界中に散在して生きてきた。居住地の支配民族とその文化とにいやおうなく接触...