●『政党』の定義とその機能
政党とは何か。サルトーリ(Giovanni Sartori)は、政党とは『選挙において提示される公式のレッテルによって身元が確認され、選挙をつうじて候補者を公職に就ける政治団体』であるとし、バーク(E. Burke)は『全員の同意する特定の主義に基づき結束した努力によって、国民の利益を促進するために結束した集団』であると規範的に定義し、シャットナイダー(E. E. Schattschneider) は 『権力を獲得しようとする組織的努力』 であると状況的に定義し、ている。その主要な機能は、大きく以下の4つに分けることができる。
利益集約(aggregation)…国民の多様な利益や要求をまとめて政策にする
選挙(electioneering)…選挙の立候補者に出馬の機会を与え、有権者に投票の手がかりを提供することで選挙活動を形成する
政府の組織化と統治(governing)…議会と政府を組織し、政治運営の中心となって統治を主導する
政治的社会化( Political Socialization)…準拠集団としての政党となり、政治情報・行動指針を提供し、イデオロギーや党派心の育成を担う
政党の抱える問題
しかしながら、今日の政党においてこれら4つの主要機能のうち機能不全を起こしているものがある。②の選挙だ。ここではその問題の内容を、特に日本の状況を中心に考察する。
ここで選挙の主要機能を簡潔にまとめてみよう。まず基本的な機能である代表選出機能(representative election)がある。有権者が自分の住む選挙区から代表を選出する機能だ。そしてその選出の過程で同時に候補者の提示した政策を評価する政策選択(policy selection)があり、また「選挙でみんなの合意の下選ばれた」という正当性を付与する役割(legitimacy bestowal)もある。
と、このように多様な機能を持つ選挙であるが、それが抱える最大の問題はやはり投票率の低さである。選挙の投票率の低さは何も日本だけの問題ではなく、デンマークやイタリアなどの義務投票制であった国を除いて冷戦終結後の世界各国において低下が目立っている。しかしながら日本における投票率は先進民主主義諸国の中で最も低い部類に入っており、特に平成に入ってからは急激に低下している。選挙区によるむらも大きいが、それよりも気にかかるのは世代によるばらつきである。それを端的に示す例として20代の投票率が30%程度であるのに対して、60代の投票率は69%にものぼることが挙げられる。この例における世代間の差をそのまま見るならば「若い世代は選挙に対する意識が低く、加齢と共に関心が高まる」という結論に落ち着くだろう。しかし問題はそれだけにとどまらない。10年単位でそのような差を眺めたときにもうひとつ浮かび上がる問題は、『10年前のX0代と現在のX0代の投票率が違う』ということである。違う、というよりも「一貫して低い傾向にある」と言った方がより正確だろう。例えば、横浜市におけるデータを見ると91年時点での30代(1960年代の生まれ)の投票率が35%であるのに対し、01年時点での30代(1970年代の生まれ)は32%と、3%低い。また91年時点での40代の投票率が49%であるのに対し、01年時点での40代は45%と、4%低い。どこの世代を見ても同じことが言える。世代が下るごとに投票率が低くなり、現在のX0代の投票率が10年前の10歳上の世代に追いつかないということになる。つまり、選挙離れが
●『政党』の定義とその機能
政党とは何か。サルトーリ(Giovanni Sartori)は、政党とは『選挙において提示される公式のレッテルによって身元が確認され、選挙をつうじて候補者を公職に就ける政治団体』であるとし、バーク(E. Burke)は『全員の同意する特定の主義に基づき結束した努力によって、国民の利益を促進するために結束した集団』であると規範的に定義し、シャットナイダー(E. E. Schattschneider) は 『権力を獲得しようとする組織的努力』 であると状況的に定義し、ている。その主要な機能は、大きく以下の4つに分けることができる。
利益集約(aggregation)…国民の多様な利益や要求をまとめて政策にする
選挙(electioneering)…選挙の立候補者に出馬の機会を与え、有権者に投票の手がかりを提供することで選挙活動を形成する
政府の組織化と統治(governing)…議会と政府を組織し、政治運営の中心となって統治を主導する
政治的社会化( Political Socialization)…準拠集団としての政党となり、政治情報・行動指針を提供し、イデオ...