脊髄損傷(胸腰髄損傷)
1.疾患についての基礎知識
脊髄損傷(spinal cord injury)は外傷や炎症などであり、その麻痺高位(麻痺レベル)により、四肢麻痺を呈する頚髄損傷と対麻痺を呈する胸腰髄損傷に大別される。また、麻痺程度により完全麻痺と不完全麻痺に分けられる。脊髄を損傷すると損傷部位、損傷程度に応じた運動麻痺、知覚麻痺、自律神経麻痺が起こる。
わが国の外傷による脊髄損傷の発生頻度は1年間に人口100万人あたり40.2人である。発生原因は第1位が交通事故、第2位が転落、第3位が転倒によるものである。麻痺高位は、頚髄損傷が約75%、胸腰髄損傷が約25%であり、好発部位はC3~C7、Th11~L1である。受傷年齢は20歳から59歳にピークがある。
1)随伴症状と合併症
①自律神経系の障害
自律神経は交感神経と副交感神経とに分けられ、交感神経は脊髄の胸腰部側角(Th1~L2)から、副交感神経は脳神経の一部ならびに仙髄(S2~S4)から機能する。このため脊髄損傷では、血管運動神経障害、発汗障害、排尿・排便障害、性機能障害など種々の自律神経障害が起こる。
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