受託者の自己執行義務について

閲覧数1,966
ダウンロード数5
履歴確認

    • ページ数 : 8ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    【1】 原則的な定義 〜信託法26条1項について〜
    『信託』とは、その基本的仕組みあるいは理念において、「受託者に対する信頼を基礎とする法律関係である 」と言ってよい。したがって受託者にあっては、「自らその信託事務を処理すべきであるし、みだりに他人に信託事務を代行させてはならない 」ものである。
    わが国では、信託法26条1項が「信託行為ニ別段ノ定アル場合」と「已ムコトヲ得サル事由アル場合」を除き、他人が信託事務を代行することを禁じている。この規定こそが、信託受託者における『自己執行義務』と呼ばれるものである。つまりは、ここで禁止される行為とは「他人に受託者とは独立した所見をもって信託事務を処理させる 」ことである。
    しかしながら、条文を見る限りにおいて26条1項とは、決してこうした義務を正面から規定したものであるとは言えない 。なお、この点に関してはあくまで私見の領域であるがゆえ、このような明言はともすれば避けるべきであるかもしれない。ただ、現行制度の今日的課題も考慮に入れると是非とも提示したい論評ではある 。

    【2】 例外
    【1】においても触れたとおり、「信託行為の定め」または「やむを得ない事情」がある場合は、受託者における自己執行義務は課されない。「やむを得ない事情」とは、例えば受託者の病気や長期の旅行などが、それにあたるかと思われる 。
    この他にも、「信託行為において代任使用を許容する趣旨を明定した場合」や「信託事務の処理上どうしても特殊な能力を要求される場合」等が挙げられる 。
    【3】 代人使用の場合の責任関係
    ? 26条2項
    代人を使用する場合は限定されるが、代人使用が認められる場合、受託者の責任は代人の選任・監督に限定される。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    原則的な定義 ~信託法26条1項について~
    『信託』とは、その基本的仕組みあるいは理念において、「受託者に対する信頼を基礎とする法律関係である 」と言ってよい。したがって受託者にあっては、「自らその信託事務を処理すべきであるし、みだりに他人に信託事務を代行させてはならない 」ものである。
    わが国では、信託法26条1項が「信託行為ニ別段ノ定アル場合」と「已ムコトヲ得サル事由アル場合」を除き、他人が信託事務を代行することを禁じている。この規定こそが、信託受託者における『自己執行義務』と呼ばれるものである。つまりは、ここで禁止される行為とは「他人に受託者とは独立した所見をもって信託事務を処理させる 」ことである。
    しかしながら、条文を見る限りにおいて26条1項とは、決してこうした義務を正面から規定したものであるとは言えない 。なお、この点に関してはあくまで私見の領域であるがゆえ、このような明言はともすれば避けるべきであるかもしれない。ただ、現行制度の今日的課題も考慮に入れると是非とも提示したい論評ではある 。
    例外
    【1】においても触れたとおり、「信託行為の定め」または「やむを得ない事情」が...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。