=臍ヘルニア=
出生直後の臍輪の閉鎖不全によりおこる。乳児にしばしばみられ、とくに低出生体重児で多い疾患である。ほとんどが自然治癒するのが特徴である。
症状は、生後2~3週すぎに、帝泣など腹圧上昇時に臍部が膨隆することで気づかれる。初期はヘルニア門(臍輪)が大きいため腸が脱出して球形に大きくふくらむことが多い。門が小さくなると腸管の脱出は消失する。かん頓ヘルニアはまれ。
治療として、1歳までに約80%が、2歳までに約90%が自然治癒する。圧迫などの保存的治療はあまり効果がみとめられないとされてきたが、近年その効果が再認識されてきている。1歳を過ぎて改善傾向がなければ手術を考慮するが、通常臍内手術であり、手術創は残らない。
=鼠径ヘルニア(外鼠径ヘルニア)=
胎生時における腹膜の鼠径管内への嚢状突出(腹膜鞘状突起)が開存したままでヘルニア嚢となり、おもに腸管などの腹腔内臓器がヘルニアをおこす疾患である。小児外科疾患のなかで最も頻度の高い疾患で、その発生率は小児の数%に上る。小児の鼠径部にみられるヘルニアのほとんどは外鼠径ヘルニアである。発症年齢は、1歳以下が多く、男児、右、低出生体重児に...