コーパスを利用した英語における複合語の研究

閲覧数2,127
ダウンロード数1
履歴確認

    • ページ数 : 6ページ
    • 全体公開

    資料紹介

    米国のテレビドラマ『FIRENDS』のスクリプトをコーパス化し、家具の複合語のコロケーションを調べました。
    特に「sit+around」のコロケーションなどは、辞書などに見られず、ひとつの核になっています。
    大学院の授業で、全体評価としてA認定でした。

    資料の原本内容

    コーパスを利用した英語における複合語の研究
    I. はじめに
     この研究の目的は、英単語furnitureに関連する英語の複合語のコロケーションを調べることであり、コーパスから得たデータを基にしている。この研究では、インターネットから集めたアメリカのテレビドラマの台本をオリジナルコーパスとして使用する。そして、オンラインコーパスとして一部利用することができるCobuild Concordance and Collocation Sampler (Bank of English)を利用し、オリジナルコーパスとオンラインコーパスからデータから、複合語のコロケーションについて考えてみたい。
    II. コーパスの資料およびツールについて
     この研究では次の資料およびツールとして利用し複合語の研究をしたい。
    (1)利用するドラマについて
      ・The West Wing (邦題:ザ・ホワイトハウス)
    1999年から2006年までアメリカで放映された政治ドラマ
    ・Friends (邦題:フレンズ)
    1994年から2004年までアメリカで放映されたシチュエーションコメディ
    (2)研究対象とする複合語
    複合語としてtableもしくはchairを含んでいるもの
    (3)コンコーダンシング・ツール
    Text Finder
    (4)オンラインコーパス
    Cobuild Concordance and Collocation Sampler (Bank of English)
    III. 複合語の分類について
     複合語は、内心複合語(endocentric compounds)と外心複合語(exocentric compounds)に分類することができる。内心複合語の例としては、blackbirdはbird(鳥)の種類を示すし、主要部として同じ機能を持っている。外信複合語の例としては、gadaboutである。その複合語における主要部は不定動詞であるが、それは名詞である(Bloomfield (1933): 235)。
    IV. データおよび分析
     ここでは、オリジナルコーパスから得たデータを示したい。
    IV-1. tableに関連する複合語
    表1で示したtableに関する複合語のデータは、The West WingとFriendsを基に作成したオリジナルコーパスからのものである。なお、Spokenとは台本の会話部分を指し、Writtenとは台本のト書き部分を指す。
    (a) データ                    (表1)
    Compounds The West Wing Friends Spoken Written Spoken Written coffee table 8 2 21 9 dinner table 1   0 0 6 kitchen table 1 0 15 8 Others 10 2 14 19 (b) 複合語の分析
    これらの複合語(coffee table, dinner table, kitchen table)には、次のようなタイプが当てはまるだろう(Quirk et al. (1972): 1026)。
    noun1+noun2=noun2 [is for] noun1
    (c) コロケーション
    表2では、一般動詞sitとともに用いられる前置詞、そして対象の複合語のコロケーションについて示した。また、どのように使われているかを例文として示した。
    (表2)
    sit+around sit+on sit+at Others Sum coffee table 2 2 0 36 40 dinner table 0 0 4 3 7 kitchen table 1 0 11 12 24 (1) coffee table:
    (e.g. 1) sit+around
    The five are sitting around the coffee table talking.
    (Friends, Season 1, Episode 7)
    (e.g. 2) sit+on
       […]Monica sits on the coffee table. (Friends, S. 6, E. 9)
    (2) dinner table
    (e.g.) sit+at
    Rachel and Monica are sitting at the dinner table and Phoebe enters, knocking on the door. (Friends, S. 9, E. 7)
    kitchen+table
    (e.g.) sit+at
    Monica and Joey are sitting at the dinner table.
    (Friends, S. 9, E. 6)
    これらの複合語は同じ主要部を持っている。もし、動詞sitが複合語であるdinner tableやkitchen tableと一緒に使われるならば、動詞sitは前置詞atとともに使うことができるだろう。また、coffee tableは前置詞onが動詞sitとともに使われているが、このシチュエーションは極めてインフォーマルであり、ドラマの主人公同士が友達であるという前提のもとに成り立っているからである。
     IV-2. chairに関連する複合語
    表3で示したchairに関する複合語のデータは、The West WingとFriendsを基に作成したオリジナルコーパスからのものである。なお、Spokenとは台本の会話部分を指し、Writtenとは台本のト書き部分を指す。
    (a) データ                (表3)
    Compounds The West Wing Friends Spoken Written Spoken Written wheelchair / 9 0 3 1 wheel chair armchair 2 0 0 1 Others 3 0 1 0
    (b) 複合語の分析
    ここでは、次のようなタイプの複合語に分類することができるだろう。
      (1) noun1+noun2=noun2 [has] noun1 (竹林他(1985): 204)
    (e.g.) wheelchair, wheel chair, armchair
    (2) verbal noun in –ing+object (Quirk et al. (1972): 1022)
    (e.g.) folding chair
    (3) noun1+noun2=noun2 [is for] noun1 (ibid: 1026)
    (c) コロケーション
    表4では、一般動詞sitやbe動詞とともに用いられる前置詞、そして対象の複合語(wheelchair, armchair)のコロケーションについて示した。
    (表4)
    sit+in sit+on be verb+in Others Sum wheelchair 1 0 5 6 12 armchair 2 1 0 0 3  (1) wheelchair
    (e.g.1) sit+in
    Abbey is waiting for him, sitting in a wheelchair […].
    (The West Wing, S. 3, E. 6)
    (e.g.2) be verb+in
    The patient I'm looking for has a broken leg and is in a wheelchair. (Friends, S. 8, E. 23)
    (2) armchair
    (e.g.) sit+in
    Joey is sitting in an armchair and wearing a diving mask.
    (Friends, S. 9, E. 24)
    V. オンラインコーパスBank of Englishからのデータ
     ここでは、オンラインコーパスのひとつであるBank of English (BOE)から得たデータを示す。これらのデータは、世界的において大きな規模のコーパスからの前置詞と複合語のコロケーションについて示すものである。
     V-1. BOEからのtableに関する複合語
       表5は、BOEからtableに関する複合語のデータである。
    (表5)
    sit+around sit+on sit+at coffee table 0 1 1 dinner table 0 0 1 kitchen table 2 0 14 LDOCE5 (Maylor et al. (2009): 1792-1793) によると、tableの見出し語において、sit at the tableというコロケーションが示してある。表6には、オリジナルコーパスとBOEをもとに、作成した。検索語句はa tableとthe tableである。
    (表6)
    Collocation Frequency in original corpus Frequency in the BOE sit+at 55 23 sit+on 5 9 sit+around 9 8
    名詞tableは、sit+atとともに使われる傾向があることがわかった。この研究で取り上げた複合語であるdinner tableとkitchen tableは、sit+atとともに使われる傾向があることが示すことができた。
    V-2. BOEからのchairに関する複合語
    表7は、BOEからchairに関する複合語のデータである。
    (表7)
    si...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。