参考文献なし
★ 基礎現代化学シケプリ★ written by かずきち。
§5.分子の形成(第5回)
(a)結合軸について円筒対称になっている重なり方をσ型の重なり、結合軸を含む節面がで
きる重なりをπ型の重なりという。上がσ型、下がπ型になる。
まぁ、各原子の最外殻でない軌道、すなわち内殻軌道は原子核を中心とする狭い領域に
しか存在しない。とすると内殻軌道は他の原子の原子軌道とほとんど重なり合わないので、
実際問題、原子どうしの軌道間相互作用を考えるときは最外殻を中心に考えるだけでよい。
σ型の重なりと違って、図のようにπ型の重なりは結合軸から少し離れたところで生じ
る。したがって、結合軸上の電荷密度は相互作用によって変化しない。そのため、結合領
域の電荷密度はσ型の重なりほどは増加しないことになる。この結果、σ型の重なりと比
較するとπ型の重なりによるエネルギー準位の分裂の程度は一般的に小さくなる。
それが理解できれば、レジュメ中の大部分を理解できるはず。絵を見て、結合軸をみて
あげて!!
(b)分子は原子どうしが結びついてできているわけであるが、原子どうしの結合の強さを定
性的に表す数値として結合次数(bond order)という指標が存在する。この定義は上に書い
てある通り。結合軌道中に1対の電子が入っていれば結合次数が1増加し、反結合軌道中
に1対の電子が入っていると結合次数が1減る勘定になる。これは共有結合のいわゆる結
合の多重度に相当する概念である。
(二重結合とか、三重結合のこと~)
(c)σ型の重なりによるエネルギー分裂の方がπ型の重なりによるものよりも一般に大き
いので、pz 軌道どうしの相互作用によってできる分子軌道 3σg を 1πu よりも下の準位に
描いてある。これはさっき説明した理論に基づく。