「ジャーナリズムと権力」
ジャーナリズムは不偏不党が求められるとよく言われるが、ジャーナリストにはそれぞれの立ち位置があり、純粋な客観性などというものはありえない。日本のジャーナリズムが、客観報道という建前を置いているのは問題だ。中立を名乗るのではなく、自らの立場を明確にするべきだ。メディアは強い「力」を持っており、メディアに携わる者はそれを自覚しなければならない。そして市民を味方につけ、人々の「知る権利」の代理人としてしっかりと機能する必要がある。
「ジャーナリズム」とは何か。それは「真実を追及する姿勢」といったように理解している人も多いかもしれない。だが田原総一朗の『ジャーナリズムの陥し穴』によれば、それは結局、「真実に近いものを掘り出す作業」であるそうだ。
さらに田原は、次のように述べている。
「“中立”“公平”あるいは“客観性”というものが、取材の常識のように語られている。しかし、ジャーナリストにはそれぞれの立ち位置があり、純粋な客観性などというものはありえない。すべて色付きである。
かつて、全共闘の学生たちと機動隊がぶつかることがあった。学生たちの側から見れば、完全防備...