「文学」」試験対策用・解答例
評価:優
文字数:5,772
・ユング心理学における影とアニマ・アニムスについて、文学作品でのはたらきという観点で説明しなさい。
・フランス・ロマン主義の本質を、それを代表するにふさわしい作品を挙げて論じなさい。
・フランスにおけるロマン主義から写実・自然主義への思潮の流れを論じなさい。
・モーパッサンのペシミスムについて、家庭環境(両親の不和)、ショーペンハウエルのペシミスム哲学の影響、二元論的哲学の形成、という三点から論じなさい。
・アベ・プレヴォ作「マノン・レスコー」について文学史の観点から説明しなさい。
・アベ・プレヴォ作「マノン・レスコー」とデュマ・フィス作「椿姫」を比較して、その根源的な共通点と相違点を説明しなさい。
それぞれの設問に関する要点と解説のあとに、そのまとめとして解答例を載せています。
試験の解答としては「●まとめ・解答例」の項を参考にしてください。
ユング心理学における影とアニマ・アニムスについて、文学作品でのはたらきという観点で説明しなさい。
影とは?
無意識の中に存在する、「人格の劣等な部分」あるいは「その人によって生きられていないもう1人の自分」。ペルソナの対極にあり、人間の道徳的な罪悪全てが影というのが1つの定義だが、もう1つの定義は必ずしも悪たる存在はいえないというものである。というのも、素晴らしい可能性を秘めた不思議な存在になりうることもあるからである。たとえば外交的な人にとっては内省的な自分として、など。簡単にいうと、影は「嫌悪感をもよおさせる同性の人物」「嫌な奴」として夢の中に登場することが多い。このようなことから、影は人間を苦しめる存在、あるいは悪への欲求であったりするため、古来より宗教上の悪魔として投影されている。文学作品においても悪魔は数多く登場する。例えばゲーテの『ファウスト』、ミルトンの『失楽園』などが挙げられる。悪魔的なものも、上手に付き合えば人間性に、そして作品により深い、ダイナミックな力の魅力を付与することになるという心理作用を古代より本能的に認識し、活用している。また悪魔だけではなく、怪奇小説...