前半は日本の診療報酬制度および介護報酬制度について説明しています。 後半は日本の病院における早期退院を支援する体制について、その背景とそれを後押しする制度上の仕組みについて述べています。(A判定2661字)
<診療報酬制度>
診療報酬とは、我が国では公的医療保険が適用される医療行為の料金、すなわち社会保険診療報酬と同義語である。社会保険診療報酬は金額ではなく点数(1点10円で換算)で表示されることから点数表とも称されている。また、社会保険診療報酬の明細書はレセプトと呼ばれる。
保険適用医療の料金表には、点数表の他に保険適用医薬品の銘柄と単価を定めた薬価基準、特定保険医療材料の価格を定めた材料価格基準がある。以上3種の料金表の他に「療養費支給基準」が存在する。ギプス等の治療用装具や鍼灸マッサージ施療について保険者が被保険者に現金還付する際の目安となる。
診療報酬の決定は厚生労働大臣の権限であるが、決定に先立ち中央社会保険医療協議会に諮問すべきこととしている。主たる審議事項は診療報酬、薬価基準の改定である。診療報酬の改定は1994年から2年ごとに行われるのが慣行となっている。
点数表には医科・歯科・調剤がある。基本的な算定項目は約10万項目あり、さらに各種加算等の特別措置を合わせると約30万項目になる。基本的な算定項目は「医師または歯科医師の技術評価」と「設備機器の減価償却費補てん」に...