回収率 個人情報保護法
社会調査における環境が悪化してきており、社会調査の実施が急速に困難になってきている。いくつかの原因が複合して難しくなっているのだが、ここで5点述べたいと思う。最も大きな問題は、社会調査への対象者の協力が得にくくなったことである。調査を拒否する人が増えて回収率が低下してきている。2つ目に大きな問題となっているものが名簿類の非公開化である。具体的にいえば、サンプリングの台帳として使用してきた住民基本台帳とか選挙人名簿とかの閲覧が制限されてきたということがある。この問題に拍車をかけたのが個人情報保護法である。民間での名簿の作成や使用も非常に不自由になったし、おまけに調査での「拒否」を助長する雰囲気をかもしだしている。3つ目は、調査実施上の倫理の確立である。これは外部の環境ではなく、調査業界が自ら確立しようとしているものである。調査なら何をやってもいいということではないから、当然のことであるし、良いことである。だが、倫理基準の内容をめぐっては議論の余地がなくはない。しかしながら、倫理基準は国際的に統一して定められるから、日本だけ変えるというわけにもいかないというむつかしい問題がある。4つ目は、...