戦略に関する問題
戦略の観点からすると、事業の定義の問題が起きるのは、①新製品の導入、②旧製品の撤退、③既存製品の新規顧客への売り込み、④買収を通じての事業の多角化、⑤事業の売却、の5つである。新しいセグメンテーションが必要となるような製品やマーケティングの変化によってそれとなく事業の定義が問題となってくる。ここで「それとなく」としたのはマネジャーが定義の変化によるインパクトの大きさについて考慮しそこねるといったことが数多くあるためである。
しっかりと考慮することなしでは、新製品や買収はそのどちらもこれまでの延長上だと考えられてしまう。これでは、その結果として既存事業の定義がどれほど変化してしまうのか、という観点を見落としてしまっていることになる。しかしながら、ゼロックスのような事例は、事業の一般的な定義は重要であり、新製品の発売や買収はそのような考えのもとで行われるべきである、ということを示唆している。
事業の再定義は別として、マネジメントはいかなる場合でも新事業の定義に頭を悩まされている。この問題は多様であり、参入する市場の特性によって左右される。たとえば、全くの新しい...