生理学実習 神経の活動電位 実験c

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    資料紹介

    資料の原本内容

    C. 強さ-時間曲線 (strength-duration curve)

    要約

    ウシガエルの座骨神経を矩形波パルスで刺激し発生した活動電位を,飽和レベルの最大活動電位の1/2になるように一定に保ち、刺激持続時間(DURATION) を変えたとき,その状態になる刺激の強さ(INTENSITIY) を記録し,時間と刺激の強さの関係を調べグラフ化した. 最小二乗法により近似直線を得た後,Weissの式で描いた曲線と実習で得たデータでの曲線とを比較した.また,この実習での基電流は164 mV ,時値は0.110 msとなった.
     

    方法

    実習書に従って行った.刺激装置のINTENSITIYを実験aで得た最大活動電位752 mVの約1/2の350 mVになるように調整し,DURATIONを変え,そのときのINTENSITITYを記録した.
    結果

    刺激持続時間と刺激強度の結果を表6に,刺激持続時間と刺激強度の関係のグラフを図6に示す.刺激持続時間の逆数と刺激強度の関係をグラフ化し,そのプロットからExcelで最小二乗法により導出した近似直線を図7に示す.

    図6より刺激持続時間を長くするほど閾値に達する刺激強度が小さくなり、十分持続時間を長くしても刺激強度は164 mVから変化しなくなり一定になった。この一定になった刺激強度を基電流といい,そのときの利用時を主利用時,強さ-時間曲線上で基電流の2倍の強度のときの利用時を時値 (クロナキシーchronaxie) という.1)

    近似直線の精度を確認した.近似直線の関係式と決定係数R2をExcelで計算し求めた結果以下のようになった.

    y = 24.647x + 108.27
    R² = 0.99956
    また近似直線が有意であるか否か回帰検定を行った
       表6 刺激持続時間と刺激強度の結果

    刺激持続時間(ms)

    刺激強度(mV)

    0.01

    0.0261

    0.02

    0.0133

    0.03

    0.0092

    0.04

    0.00712

    0.05

    0.00594

    0.06

    0.00551

    0.07

    0.00454

    0.08

    0.00411

    0.09

    0.00376

    0.1

    0.0035

    0.11

    0.00328

    0.12

    0.00308

    0.13

    0.00294

    0.14

    0.00279

    0.15

    0.00268

    0.16

    0.00257

    0.17

    0.00248

    0.18

    0.00239

    0.19

    0.00233

    0.2

    0.00226

    0.21

    0.0022

    0.22

    0.00214

    0.23

    0.0021

    0.24

    0.00206

    0.25

    0.00202

    0.26

    0.00198

    0.27

    0.00194

    0.28

    0.00191

    0.29

    0.00189

    0.3

    0.00186

    0.31

    0.00183

    0.32

    0.00182

    0.33

    0.0018

    0.34

    0.00178

    0.35

    0.00177

    0.4

    0.00169

    0.45

    0.00167

    0.5

    0.00166

    0.55

    0.00165

    0.6

    0.00164

    0.65

    0.00164

    0.7

    0.00164

    0.75

    0.00164

    0.8

    0.00164

    0.9

    0.00164

    1

    0.00164

    0.012

    0.0216

    0.014

    0.0187

    0.016

    0.0164

    0.018

    0.0147

    0.025

    0.0108
                   図6 強さ-時間曲線

    持続時間を十分長くすると,刺激強度は164 mVから変化しなくなり一定になった.近似曲線は直角双曲線となった.
                 
    図7 刺激持続時間の逆数と刺激強度の関係

    近似直線は一本の一次関数直線となった.
    考察

    静止膜は電気的に膜容量と膜抵抗の並列とみなされる.膜容量を刺激電流で準電子,閾値まで脱分極を起こすと,興奮が発生する.細胞の種類により膜容量と摸抵抗.さらにチャネル密度は一定なので時値も一定となる.
    1)大地陸男(2010)細胞の興奮発生と興奮伝導.In:生理学テキスト 第6版,文光堂,文京区,pp25-46

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