SD法2

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    資料紹介

    資料の原本内容

    2008/05/30
    実験心理学

    SD法による都市イメージの測定
    目的

     都市の持つイメージをSemantic differential method(SD法)により測定する。
    方法

     測定対象:対象は東京、大阪、京都、神戸、名古屋の5つの都市である。これらは評定用紙に文字で示し、その提示順序は被験者毎にランダム化されていた。

     尺度:使用尺度は、表1に示す12尺度である。これらは、評価、力量、活動の各因子ごとに、都市のイメージを測定するのに適当と考えられる尺度を任意に選択したものである。各尺度の因子内容と左右での正負が適度に散らばるように提示順序を調整した上で、調査票を作成した。尺度の使用順序はこの1種類である。評定者には7段階の評定が求められた。

                   
    表1  使用尺度

    Evaluation(評価)

    Potency(力量)

    Activity(活動)

    良い-悪い

    強い-弱い

    あたたかい-つめたい

    楽しい-つまらない

    かたい-やわらかい

    軽い-重い

    澄んだ-濁った

    深い-浅い

    派手な-地味な

    新鮮な-腐った

    緊張した-ゆるんだ

    大胆な-繊細な
    被験者:追手門学院大学心理学科学生、男性9名、女性22名、合計31名である。
    実験日時・場所:評定は平成20年5月9日に、2206教室において集団で行われた。
    結果

     各都市に対する各尺度の評定者全体の評定値から、評定平均値と標準偏差を求めた。その結果を表2に示す。表2に示す尺度左端を1点、右端を7点として数値化してある。
    表2  各都市に対する各尺度の評定平均値と標準偏差

    都市名

    東京

    大阪

    京都

    神戸

    名古屋

    Scale

    平均

    SD

    平均

    SD

    平均

    SD

    平均

    SD

    平均

    SD

    かたい

    2.9

    1.47

    5.5

    1.27

    4.3

    1.82

    3.7

    1.3

    4.2

    1.15

    悪い

    3.7

    1.23

    4

    1.66

    5.5

    1.29

    5.3

    1.08

    4.5

    1.1

    派手な

    2.1

    1.16

    1.9

    0.78

    5

    1.05

    3.2

    1.17

    3.2

    1.43

    腐った

    3.9

    1.7

    3.8

    1.18

    4.4

    1.16

    5.2

    1.04

    4.3

    0.78

    深い

    4.4

    1.5

    3.5

    1.27

    1.5

    0.66

    3.6

    0.97

    3.6

    1.09

    冷たい

    2.3

    1.12

    5.8

    1.09

    4.8

    1.5

    3.8

    1.07

    4.2

    1.1

    大胆な

    3.2

    1.44

    2

    0.97

    5.6

    1.28

    4.2

    1.68

    3.2

    1.17

    緊張した

    3.4

    1.52

    5.4

    1.04

    3.4

    1.47

    3.4

    1.1

    4.4

    0.87

    重い

    4.2

    1.55

    5.1

    1.29

    2.9

    1.2

    4

    0.86

    4.1

    1.03

    澄んだ

    5.4

    1.1

    5.2

    0.74

    2.5

    1.01

    3.3

    1.24

    4.2

    1.23

    弱い

    5.2

    1.32

    5.7

    0.98

    4.5

    1.46

    4.5

    1.04

    4.7

    1.17

    楽しい

    2.9

    1.35

    1.9

    0.83

    2.6

    1.24

    2.9

    1.25

    3.2

    1.25
    次に、各都市の評定平均値によるプロフィールを図1に示す。
    軽い

       楽しい

       腐った

        強い

       緩んだ

    あたたかい

    やわらかい

        悪い

       大胆な

       派手な

        浅い

       濁った
    重い

    つまらない

    新鮮な

    弱い

    緊張した

    つめたい

    かたい

    良い

    繊細な

    地味な

    深い

    澄んだ 

    図1  各都市の評定平均値によるプロフィール
    表2より東京・名古屋など近畿地方以外の都市では標準偏差が大きく、大阪・京都・神戸など近畿圏の都市、特に大阪では標準偏差が小さいのが分かる。

    また図1のプロフィールからは名古屋・神戸はあまり幅が大きくなく、平均的なのに対し、東京・大阪・京都は幅が大きく、全体的にみてもどちらかに偏っている。

    以上のことから自分により近い地域はイメージがはっきりと持てているが、名古屋・東京など離れている地域のイメージは人それぞれで、かつ近い都市より曖昧であるということがいえる。
    考察

     まず東京や大阪など人口の多い大都市では「濁った」「派手な」などマイナスイメージを持たれがちという共通点もあるが、東京と大阪で明らかに大幅に違う項目がある。それは「つめたい-あたたかい」である。東京は「かなりつめたい」に近い位置にあり、大阪はその逆で「かなりあたたかい」に近い位置にあるのがわかる。これは気温などのことではなく、その都市の雰囲気や県民性のイメージのあらわれではないだろうか。

     次に目立っているところだと京都の「澄んだ」「深い」「重い」などがあげられる。これは落ち着いたイメージが多くもたれているといえる。おそらく、京都のイメージが古都というイメージであり、お寺や神社など歴史的建造物が多くあることが広く知られているからではないかと考えられる。

     また神戸と名古屋に関して言えば、2つのどちらの都市も真ん中の「どちらでもない」というところにかたまっているようにみえる。これはこの2つの都市が他の3つの都市に比べて比較的最近にできたからではないだろうか。そのため昔からのイメージが根付いておらず、「どちらでもない」というところに集中したように思われる。

     以上のことから被験者自身に近い地域で、古くから有名な地域において、より明確で統一性のあるイメージがもたれており、その他の地域では曖昧で、はっきりどちらかに偏っているとは言えないという見解が可能であると考えられる。

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