相殺制度の意義と問題点について

閲覧数2,731
ダウンロード数8
履歴確認

    • ページ数 : 8ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    これより、相殺制度の意義と問題点について述べていくこととする。まず初めに、相殺制度の意義、機能等について述べていき、次に相殺制度に関する判例を用い、最後に相殺制度の問題点について議論していく。
    1.
    最初に、相殺制度の意義、機能等について述べていく。相殺とは債権消滅原因の一つで、対立する同種の「自働債権」と「受働債権」を一方の意思表示により対当額を消滅させて精算するものである。例えば、AがBに十万円の借金をしていて、その後逆にBがAに三万円の借金をしたようなとき、AからBに相殺の意思表示をして、Bの借金をなしにする。その一方で、AのBに対する借金の額を差し引き七万円にするといった制度である。つまり、お互いがお互いに借金をしているとき、その分の借金は帳消しになるということだ。このとき、AがBに対して持っている三万円の債権を「自働債権」、反対に相殺される側の債権、すなわちBが持つ十万円の債権を「受働債権」という。
    そして、相殺の機能としては、1,決済事務の簡略化、2,決済における当事者の公平を図る、3,担保的機能の以上三つが挙げられる。しかし、この相殺を適用するには様々な要件を満たすことが必要となる。それら相殺をなしうる要件を具備する債権の対立状態を「相殺適状」と呼ぶ。?同一当事者間での有効な債権の対立的存在(五〇一条一項本文)、?両債権が同種の目的を有すること(五〇一条一項本文)、?両債権が弁済期にあること(五〇五条一項本文)の以上三つが要件である。だが、これらの要件にもさらにそれぞれ 例外等がある。?では、無効な債権や弁済等によって消滅した債権は相殺できない、だが例外として消滅時効にかかった自働債権で時効完成前に相殺適状にあったもの(五〇八条)については相殺可能となる。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

     これより、相殺制度の意義と問題点について述べていくこととする。まず初めに、相殺制度の意義、機能等について述べていき、次に相殺制度に関する判例を用い、最後に相殺制度の問題点について議論していく。
     
    1.
    最初に、相殺制度の意義、機能等について述べていく。相殺とは債権消滅原因の一つで、対立する同種の「自働債権」と「受働債権」を一方の意思表示により対当額を消滅させて精算するものである。例えば、AがBに十万円の借金をしていて、その後逆にBがAに三万円の借金をしたようなとき、AからBに相殺の意思表示をして、Bの借金をなしにする。その一方で、AのBに対する借金の額を差し引き七万円にするといった制度である。つまり、お互いがお互いに借金をしているとき、その分の借金は帳消しになるということだ。このとき、AがBに対して持っている三万円の債権を「自働債権」、反対に相殺される側の債権、すなわちBが持つ十万円の債権を「受働債権」という。
     そして、相殺の機能としては、1,決済事務の簡略化、2,決済における当事者の公平を図る、3,担保的機能の以上三つが挙げられる。しかし、この相殺を適用するには様々な要件を満た...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。