「介護保険制度の概要と課題について述べよ。」
・介護保険制度の概要と設立の背景
2000年に設立された介護保険制度は、市町村等が保険者となって、40歳以上の国民から介護保険料を徴収し、原則65歳以上で要介護、要支援状態となった場合に、1割の自己負担で介護サービスを保険給付として受けることができる社会保障制度である。
設立の背景として、急速な高齢化に伴って要介護者が急増し、介護期間も伸張したことから、家族に心身両面における過度な負担がかかり、介護虐待が多発するなど、家族介護が限界に達したことにある。それまで「措置」による公的配給制度として、ホームヘルプサービスや特別養護老人ホームは存在したが、予算不足や「自治体及び社会福祉法人、社会福祉協議会のみが行なえる」という供給主体規制があったため、需要に対して供給量が足りず、事実上低所得者の単身者に利用が限定されていた。
その対策として、予算不足、財源不足の問題において「保険料」を導入する形をとったのである。 供給量を拡大させるために、参入規制を撤廃し、民間活力を利用するために、福祉の世界に営利法人を含めた、全ての法人が参入可能である市場原理を取...