法規範と宗教的規範との本質的異同を論じ、日本国憲法上の宗教に関する規定の特色について説明する。
宗教規範と法規範
宗教とは何か、宗教とは信仰の上に築かれるものである。宗教信者の言う宗教とは、自らの信ずる宗教のみを意味するので、彼らが他の宗教を宗教と認めないという考え方にいたる事も珍しくない。宗教とはそれを信仰する人にとっては、妥協を許されぬ絶対的な価値であり、その宗教上の規範の普遍性を信ずるであろうが、他の宗教信者、又は特別な宗教を持たない人にとっては、その宗教から何の拘束をも受けることはない。一つの宗教の持つ精神規範的な拘束力は、その宗教の信者にのみ通用し、その他の宗教の持つ精神規範的な拘束力は、その人には通用しないし、その逆もまた然りである。 次に、法とは何か、法は社会に対する規範である為その社会の構成員によって遵守されなければならないものであり、その人がその社会を信じようが信じまいが社会の構成員の一員として存在する限りその規範に拘束される性質を持つ。また、その法律によって選ばれた社会構成員の代表によってその法を改正することも廃止することも可能である。
法規範と宗教的規範との本質的異同を論じ、日本国憲法上の宗教に関する規定の特色について説明する。
宗教規範と法規範
宗教とは何か、宗教とは信仰の上に築かれるものである。宗教信者の言う宗教とは、自らの信ずる宗教のみを意味するので、彼らが他の宗教を宗教と認めないという考え方にいたる事も珍しくない。宗教とはそれを信仰する人にとっては、妥協を許されぬ絶対的な価値であり、その宗教上の規範の普遍性を信ずるであろうが、他の宗教信者、又は特別な宗教を持たない人にとっては、その宗教から何の拘束をも受けることはない。一つの宗教の持つ精神規範的な拘束力は、その宗教の信者にのみ通用し、その他の宗教の持つ精神規範的な拘束力は、その人には通用しないし、その逆もまた然りである。 次に、法とは何か、法は社会に対する規範である為その社会の構成員によって遵守されなければならないものであり、その人がその社会を信じようが信じまいが社会の構成員の一員として存在する限りその規範に拘束される性質を持つ。また、その法律によって選ばれた社会構成員の代表によってその法を改正することも廃止することも可能である。また、法規範は社会的秩...