幼児は、彼らの生活における様々な経験や体験を通して学習し発達するものであり、幼児期における保育内容は、幼児が環境と関わり主体的に行動する中で、人間形成の土台作りとしての「生きる力」(心情・意欲・態度など)の発達を促す内容であるべきである。日本の幼稚園教育においては、過去から現在にかけて幾度かの保育内容の見直しがなされ、現在の幼稚園教育要領(平成20年改訂)で示される保育内容においても、平成元年に改訂された考え方を受け継いでいる。本レポートでは、現在の幼稚園教育要領で述べられる保育内容の考え方について説明していく。
まず、幼稚園教育要領で述べられている幼稚園教育の目指すものとは、人間性の核となる豊かな心情、自分から周囲に働きかけようとする意欲、また人と支え合って生きる態度など、生きる力を「幼児の発達の側面から」育てることである。ここで大切なのは、幼児の側からということは、大人の価値観や考えを一方的に子ども達に教えるという立場ではなく、あくまでも子どもの自主性や興味などを尊重し、幼児主体となってこれらの力を環境を通して学んでいくということである。この生きる力(心情・意欲・態度)などを具体...