2012年度提出のレポートです。参考にしてください。
「生きる力」の育成と道徳教育について述べよ。
「生きる力」とは,変化の激しい社会において,人と協調しつつ自律的に社会生活を送ることができるようになるために必要な,人間としての実践的な力であり,豊かな人間性を重要な要素としている。
子どもたちに必要とされる豊かな人間性とは,美しいものや自然に感動する心などの柔らかな感性,正義感や公正さを重んじる心,生命を大切にし,人権を尊重する心などの基本的な倫理観,他人を思いやる心,社会貢献の精神,自立心,自己抑制力,責任感,他者との共生や異なるものへの寛容などの感性及び道徳的価値を大切にする心であるととらえられる。このような心の育成を図るのが心の教育であり,その基盤としての道徳教育なのである。
人間が「生きる」ということは三つの次元で生きるということである。すなわち,生物学的「生命」,文化-社会的「生(活)」,そして道徳的-人格的-宗教的「いのち」である。この三つの次元は相互に密接に連関して,一つの全体を成し,その人の「一生」「生涯」とよばれる。
生物学的「生命」は人間存在の基底を成し,身体によって担われている。人間は誰しもこの一回限りの,有限な...