フランツ・カフカ 審判
評価:C
2012年度 文学 第三課題
審判
フランツ・カフカ(1883年ー1924年)はチェコ出身のユダヤ系ドイツ語作家である。存命中は無名に近い作家であったが、死後に親友のマックス・ブロードが遺稿を整理し、『審判』、『城』、『アメリカ』などの長編小説や日記、書簡に至るまでを刊行した。アメリカで編集出版されたため、ドイツ語圏内よりイギリス、フランスで注目され、二十世紀文学を代表する作家となる。
この『審判』が執筆されたのは、1914~15年である。この頃は、サラエボ事件から始まる人類史上最初の世界大戦が勃発した年であり、ヨーロッパを主戦場に世界規模で戦われた。カフカは徴兵を免れたため、直接戦争に参加することはなく、この『審判』の執筆に専念している。
この物語は、「何者か、ヨーゼフ・Kを密告した者があるに相違ない。というわけは、ある朝、身に覚えのない彼が突然逮捕されたからである」という謎めいた書き出しから始まる。主人公のヨーゼフ・Kが30歳の誕生日を迎えた朝に見知らぬ2人組に逮捕されてしまうところから話し始まる。そして、Kはその2人組に対して「どのような罪なのか?」と問うも、「下っ端だか...