<北方ジャーナル事件>
(意義)
名誉毀損の救済方法として人格権に基づく、表現方法の差止請求権を「厳格かつ明確な要件」の元容認し、さらに公共性のある表現行為の事前抑制について原則的禁止を宣言し、その例外の要件を明示した。
(概要)
元旭川市長の被告Yは、1979年の北海道知事選挙に立候補を予定していたが、五十嵐広三批判の論陣を張っている、原告、五十嵐広三、同阿部昭の発行する雑誌『北方ジャーナル』が2月23日に発売を予定していた4月号に、「ある権力主義者の誘惑」なる記事があり、記事の全体にわたって被告の名誉を毀損する記載があることを知った。具体的には、被告について「嘘と、ハッタリと、カンニングの巧みな少年」「言葉の魔術者であり、インチキ製品を叩き売っている(政治的な)大道ヤシ」などと書かれ、さらに被告の私事についても触れ、結論としては被告が北海道知事として相応しくないという記述がされていた。
そこで、被告は1979年2月16日、札幌地方裁判所に当該号の出版の差し止めを求める仮処分を申請し、同日認められた。
原告は、根拠とする印刷物が盗取したものであることを承知のうえで利用し、しかも被告五十嵐の名誉が毀損されようとしているなどと仮処分申請理由をでっちあげ、右申請が仮処分の要件を充たさない違法不当なものであるとして、この差し止めが憲法21条の禁止する検閲であり、違法であると国とYに損害賠償を請求。一審は請求を棄却、二審も控訴を棄却したので、原告側が上告。
Cf 仮処分目録
一、債務者らの別紙目的物目録記載の著作物に対する占有を解いて札幌地方裁判所執行官にその保管を命ずる。
一、債務者株式会社北方ジヤーナルは右著作物の印刷、製本並びにその販売または頒布させてはならない。但し、目的物目録記載の記事の掲載のないものは除く。
言論の自由と名誉毀損における真実性の証明
- 夕刊和歌山時事事件
名誉毀損と「公共ノ利害ニ関スル事実」
-月刊ペン事件
名誉毀損と事前差止め
-北方ジャーナル事件
名誉毀損と表現の自由
主な参照条文 名誉毀損:刑法230条
表現の自由:憲法21条
<北方ジャーナル事件>
(意義)
名誉毀損の救済方法として人格権に基づく、表現方法の差止請求権を「厳格かつ明確な要件」の元容認し、さらに公共性のある表現行為の事前抑制について原則的禁止を宣言し、その例外の要件を明示した。
(概要)
元旭川市長の被告Yは、1979年の北海道知事選挙に立候補を予定していたが、五十嵐広三批判の論陣を張っている、原告、五十嵐広三、同阿部昭の発行する雑誌『北方ジャーナル』が2月23日に発売を予定していた4月号に、「ある権力主義者の誘惑」なる記事があり、記事の全体にわたって被告の名誉を毀損する記載があることを知った...