「福祉サービスにおける組織と経営について述べよ。」
Ⅰ.序論
戦後の福祉国家建設への取り組みは、経済成長の変化と少子高齢化への社会の変化の影響を受け、幾度となく試行錯誤を重ね、そして、21世紀を迎えるにあたり、社会福祉の在り方を基礎から抜本的に構造変換をする取り組みである社会福祉構造改革により、実際の社会福祉の現場での主力である社会福祉事業者のあり方も鋭くその見直しを迫られることになった。この社会福祉構造改革の柱であった非常に画期的な取り組みは、福祉の援助者と被援助者の間に、契約の概念をもたらすこと、市場原理の導入などであった。社会福祉士として相談業務を行うにあたり、現在の社会福祉事業の変革の背景とその動向、今後の方向性を理解し、利用者が受けるサービスのあり方、その組織、経営のあり方について経営学的な知識を持ち考察を深めることはより良い援助活動を行う上で必須である。
Ⅱ.本論
1.福祉サービスという概念
福祉の分野での援助活動を「福祉サービス」と称することは単純な問題ではない。なぜなら、民間企業と福祉の事業のその活動の目的、組織の成り立ちの、そのおかれる市場といった面で異なるからで...