学力低下とは何かを明らかにし、社会階層のような社会的不平等と学力がどのような関わりをもつのかについて述べてください。
学力低下自体は昔からさまざまな形で繰り返し議論されてきたことであり、目新しいことではない。しかし、具体的な国際比較や時系列的なデータが示されたのと同時に、教育現場で教育に携わる関係者の実感に非常にフィットしたことが昨今の学力低下議論を呼ぶ直接的なきっかけになったと考えられる。大学生に限ってみれば、学力が低下しているという議論は別段古いものではなく、大学レジャーランド論、青年総休暇論、高等保育論などは、学力低下と絡めて論じられてきた。しかし、今日展開されている議論は、明らかにそれらとは異なる。少なくともこれまでの大学生の学力低下は、ある意味で大衆化の必然的な帰結であった側面もある。大学生の学力低下は、要するにこれまで大学に入れなかった層が昨今の少子高齢化の波を受けて、大学に入れるようになったことで引き起こされたと考えても妥当である。
したがって、そういう事態が望ましいかどうかは別として、つまり大学の大衆化を高等教育の発展ととらえるか、大学の堕落ととらえるかの議論はあるが...