「成人看護学実習Ⅱ」
看護大学生
はじめに
今回、成人看護学Ⅱ実習で循環器・消化器の病棟実習とICU・手術室でのクリティカル実習を行い、成人期・老年期にある対象者と関わらせていただいた。病状が変化し複雑な状態にある対象者とその家族との関わりの中で私の考えたヒューマンケアリングの意味と価値について述べる。
対象者の療養生活
私が受け持たせていただいた対象者はA氏、80歳代女性。膵頭に腫瘍が見つかったことからERCPの検査のために転院された。ERCPの結果からIPMT(膵管内乳頭粘液腫瘍)が疑われている。検査後、合併症は発症していない。A氏は以前の怪我やリウマチの既往などから左膝が屈曲せず、肩関節の外転が左右45°程度であり、セルフケアに介助が必要な状況である。寝返りはベッド柵など何かに掴まれば出来るが、起き上がりは出来ない。座位保持には支えが必要で、衣服の着脱には全介助、移乗には一部介助が必要である。見当識障害が見られるが、理解力は問題ないと考えられる。夫は他界しており、子供が5人いる。A 氏の話では長男のみ広島在住との...