「現在の生活保護法の基本原理、種類、内容について述べよ。」
日本国憲法は第25条において、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と生存権を規定している。現行生活保護法(1950年法律第144号)は、この生存権の保障を具体的に実現するための重要な制度である。生活保護法の第1条から第4条では、「基本原理」と呼ばれる本法の目標および基本となる考え方を規定しており、第5条でこの基本原理の遂行を規定している。基本原理とは、国の守るべき事柄を定めた①国家責任による最低生活保障の原理、②無差別平等の原理、③健康で文化的な最低生活保障の原理と、保護を受ける側の国民に求められる④保護の補足性の原理である。以下に、4つの基本原理について述べる。
①国家責任による最低生活保障の原理(国家責任の原理)(第1条)
生活に困窮するすべての国民の最低生活保障を、その程度に応じ国家がその責任において行うことを規定したものである。併せて、保護を受ける者の自立助長を図ることも目的としている。
②無差別平等の原理(第2条)
保護を必要とする人の信条、性別、人種、社会的身分、生活の困窮に陥った...