生理学実験
膵臓外分泌調節
1、目的・緒言
膵臓は外分泌と内分泌を行う組織で、外分泌では主に膵リパーゼ、トリプシン、エラスターゼ、膵アミラーゼなどの消化酵素を分泌する。また内分泌ではグルカゴン、インスリン、ソマトスタチンといったホルモンや膵ペプチドを分泌する。
今回の実験では外分泌に焦点を当てる。前回の実験で耳下腺のアミラーゼ活性値を調べた。本実験では膵臓から分泌される酵素の活性を調べる。膵臓の酵素、および酵素原は自律神経による調節も受けるが、同時に各ホルモンによっても調節される。膵腺房細胞はACh、CCK、secretinの受容体を持っていて、これらの物質を受容すると分泌が刺激される。ACh、CCKは腺房細胞に、secretinは導管細胞に作用する。
腺房細胞の分泌は上記3つのリガンドが全て受容されたときに最大刺激となり、最も活発に分泌する。このとき、secretinはCCKの、CCKはsecretinの作用を増進させるといわれている。
今回はCCK、及びsecretinを投与することによって膵臓外分泌の膵液量、および酵素量の変化の様子を観察する。
2、材料・器具
ラットの膵臓、
麻酔薬(ネンブタール)、生理食塩水
カニューレ、糸、試験管、
エッペンチューブ、ビニールテープ、シリコンチューブ
3、方法
―――――1日目―――――
(1) 一晩絶食させたラットを麻酔した(ネ
ンブタール)。
(2) 気管、外頸静脈にカニューレを装着し
た。
(3) 胃幽門部を糸で結紮し、膵管、胆管、
小腸にカニューレを装着した。
(4) 以上の準備が終了後、20-30分ほど待
って実験を開始した。
(5) 膵液は10分ごとに採取して分泌量を
測定し、20分後にCCK、60分後に
secretinを静脈投与した。
(6) 膵液量の算定はシリコンチューブ1cm
あたり2μℓとして求めた。
(8) 膵液量を算定したあと、5ml生理食塩
水に入れてよく撹拌して500μℓをエ
ッペンチューブにとった。
(9) 膵液を含んだ試験管及びエッペンチュ
ーブはそれぞれ冷蔵及び冷凍保存して、
2日目の実験に用いた。
―――――2日目―――――
(1)1日目に採取した膵液のSampleのう
ち、試験管に入れたものを用いて
280nmの波長で吸光度を用いて蛋白
質の定量を行った。
(2) 続いて、エッペンチューブに入れてお
いたSampleを用いてアミラーゼ活性
値を測定した。
アミラーゼ活性値測定は以下の手順で行った。
基質緩衝液1mℓを試験管に分注し
37℃で5分間インキュベーションし、
20μℓずつそれぞれのsampleを加え
てvortexを行い37℃でインキュベーションした。
インキュベーションを行ってから7分30秒後に発色試薬1.0mℓを加えてvortexを行い、蒸留水5.0mℓを加えた。
(6) 得られた標本を660nmの吸光度で測
定し、アミラーゼ活性値を算出した。
CCK及びsecretinにより最大蛋白質分泌量を示したSample3と7は生理食塩水で10倍に希釈したものも同様に吸光度を測定した。
4、結果
膵液量算定 時間(min) 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 膵液量
(μℓ) 3.0 4.4 14.4 5.8 3.8 3.7 14.6
生理学実験
膵臓外分泌調節
1、目的・緒言
膵臓は外分泌と内分泌を行う組織で、外分泌では主に膵リパーゼ、トリプシン、エラスターゼ、膵アミラーゼなどの消化酵素を分泌する。また内分泌ではグルカゴン、インスリン、ソマトスタチンといったホルモンや膵ペプチドを分泌する。
今回の実験では外分泌に焦点を当てる。前回の実験で耳下腺のアミラーゼ活性値を調べた。本実験では膵臓から分泌される酵素の活性を調べる。膵臓の酵素、および酵素原は自律神経による調節も受けるが、同時に各ホルモンによっても調節される。膵腺房細胞はACh、CCK、secretinの受容体を持っていて、これらの物質を受容すると分泌が刺激される。ACh、CCKは腺房細胞に、secretinは導管細胞に作用する。
腺房細胞の分泌は上記3つのリガンドが全て受容されたときに最大刺激となり、最も活発に分泌する。このとき、secretinはCCKの、CCKはsecretinの作用を増進させるといわれている。
今回はCCK、及びsecretinを投与することによって膵臓...